未払い残業代問題
残業には、所定労働時間を越え、法定労働時間内の残業と法定労働時間を超える残業の2種類があります。
就業規則(雇用契約書)によって所定労働時間は決まっており、法定労働時間はその名の通り、法律で決まっている労働時間です。
1日8時間及び1週40時間が法定労働時間であり、その時間を越えた場合には割増賃金が発生しますが、所定労働時間を越えた残業は割増で支払う必要がありません。
そのため、所定労働時間を越えているのか、法定労働時間を越えているのかどうかはきちんと把握し、支払う必要があります。
因みに深夜に就業した場合の割増賃金の対象は22時から5時までです。
ここで注意したいのが、残業と深夜が重複した場合は割増率も重複して支給しなければならないということです。
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最近話題となっている未払い残業問題
未払い残業とはサービス残業のことで、残業代を払わずに残業させることです。
未払いが発覚すると、労働基準監督署から「是正勧告」されることになります。「是正勧告」に従って是正しなければ、書類送検となり、罰せられる可能性もあります。
この「賃金不払残業」の「是正勧告」によって、上場企業が数億円、数十億円支払ったケースもあります。
このような場合、どのような対応をとるべきか、お伝えいたします。
(1)是正勧告とは?
「是正勧告」とは、いわば労働基準監督署による警告書です。
会社経営者が従業員を雇用するとき、守らなくてはならないルールが「労働基準法」です。
このルールに違反した場合、出されるのが、「是正勧告書」という名の警告書です。
この罰則をみると「6ヵ月以下の懲役」、「30万円以下の罰金」などとあります。
行政指導には強制力がないので、「是正勧告」には従わなくてもよさそうに見えますが、「労働基準法」の中に懲役又は罰金というペナルティーが設けられており、「是正勧告」に従って是正しなければ、書類送検となり、罰せられる可能性もあります。
「是正勧告」に至る「労働基準監督署」の「調査」のきっかけは、従業員(元従業員を含む)からの申告が大きい割合を占めています。
したがって、労基署の調査も会社の労働時間管理の実態を理解した上で行われます。
(2)労働基準監督署(労基署)への対応
残念ながら、労基署が調査に入り、労基署が様々な資料を入手した後では、使用者が労基署に対して対抗する手段はほとんどありません。
しかし、労基署に提出した資料にはあらわれない、使用者としてどうしても主張したい事情もあるかと思います。
例えば、労基署は、パソコンのログオン、ログオフ時間を元に労働時間を計算することが多いのですが、当該労働者がパソコンでその時間まで仕事をしていたのかは本当のところはわかりません。
途中で夕食を取るためパソコンの電源をつけたまま机を離れたかもわかりません。
また、タイムカードについても、職場の親睦会などがあり、タイムカードの時刻が終業時刻後相当遅くなって打刻されているような場合もあるかとおもいます。
以上のような事情があれば、労基署に主張することも可能かと思いますので、まずは弁護士にご相談下さい。
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